芹沢は(生田斗真)宗田の殺害容疑で留置されている友人・葛西(田中圭)と義理の姉・麻里(吉瀬美智子)との不倫関係の事実を突きつけられて深く傷付く。 そして芹沢の元にしおり(小林涼子)が歩み寄って来た。 「大丈夫ですか…?」 「えぇ…、遅くまですいません。送ります」 「あの…、刑事さんは…犯人が誰なのか知ってるんですか?」 しおりは答えを返さない芹沢の様子を見て察した。 「…解ってるんですね… 刑事さんは、その人の事を憎んでますか?」 「解らないんです… その人を殺人犯にしたのは俺だから… 11年前、俺があんな事さえ起こさなければ、あの人はこんな事件を起こさないで済んだんです。 1人の人間の人生をこんなに狂わせる事になるなんて… あん時、考えもしなかった。 あの人と死んで逝った人達の事を考える度に自分の過去を全部、捨てられたら良いかって…俺は…」 「残酷ですよね… そんなにまで傷付くなんて。 生きて行けないなんて… そんな人生、残酷過ぎますよね… でも、私その過去が有るから今の真っすぐな刑事さんが居ると思います。 もう刑事さんは十分に傷付きました。 刑事さんだけじゃない… もう誰もこれ以上、誰も傷つく必要なんてない んです。 傷付いちゃ駄目なんです。 その為なら私、どんなものが見えたって絶対に逃げたりなんかしません。 だから刑事さん、真実から逃げないで下さい」 芹沢はしおりから励まされて頷くと事実と向き合い、無実の葛西を救べく決意を固めた。 翌日、成瀬は事務長から葛西が宗田の殺害を自供したと報告を受けた。 「問題ありません。 もう直ぐ彼の友達が救ってくれる筈ですか」 一方、芹沢は兄・典良(劇団ひとり)に電話を掛けた。 「どうしたんだよ? 葛西の件は辛いだろう? だが罪は罪だ。 人として償うべき事は償わなきゃな」 「葛西の容疑は晴れる」 「えっ…!?」 「兄貴…、すまない…」 「どうした?何で謝るんだ?」 「もう切らないと」 電話を切った芹沢は義理の姉・麻里(吉瀬美智子)と待ち合わせていた。 そして葛西を救えるのは麻里だけで、葛西のアリバイを証明する為に一緒にいた事実を証言して欲しいと依頼した。 しかし麻里は証言はは出来ないと謝って去ってしまう。 芹沢は宗田の殺害を自供した葛西が麻里を庇う為に嘘の供述をしていると悟っていた。 そして本当の事を言って欲しいと説得する。 「殺人犯になるつもりか? どういう事か解って言ってるのか? 人殺しだって一生、後ろ指刺されて生きて行く事になるんだぞ!?」 「俺のせいであの人が不幸になる方が辛い」 取調べの様子を係長・(三宅裕司)の案内で隣の部屋から見ている麻里の姿があった。 「直人、すまない。 でも、俺にはあの人が必要だったんだ。 あの人が側にいるだけでイヤな事も全部、忘れられた。 あんなに人を好きになったのは初めてなんだ。 だから、俺なんかのせいであの人の人生を狂わせる訳にはいかないんだ。 あの人を守れなかったら、俺は生きている意味かない…。 頼む…、麻里さんを巻き込まないでくれよ! あの人を苦しめるのは止めてくれ! 俺はどうなったっていい。頼む!!」 麻里は自分への愛を貫く葛西の姿を目の当たりにして、宗田が殺された時間に葛西は自分と一緒だった事を証言した。 証言後、麻里がオフィスに行くと典良が何処へ行っていたかと厳しい口調で問いた。 すると麻里の後から芹沢が入って来る。 「直人…!?」 「警察に行って来ました」 「どうして、お前が警察に…?」 「葛西のアリバイを証明して貰う為に俺が呼んだんだ」 「何で麻里を?」 「宗田が殺された時間、葛西は麻里さんと一緒にいた… 葛西の無罪を証明する為には他に方法がなかったんだ」 直人からの説明を聞いた典良は、自分を傷つけてまで葛西を守った妻と証言を促した弟への怒りで直人を殴り倒した。 「ふざけんな…! 俺はどうでも良いのか? 俺の事は考えなかったのか!?」 典良は直人の胸倉を掴むと声を荒げて問い詰める。 「止めて!!私が悪いの!」 麻里は直人を庇おうと典良を引き止める。 「触るなっ!!」 「兄貴、すまない」 別れたいと言う麻里に対して離婚するつもりはないと言い切った。 葛西と麻里の関係を知った栄作(石坂浩二)は一蹴する。 「芹沢家の嫁にふさわしい女は他にもいる。 離婚はほとぼりが冷めてからでいい」 「芹沢家の名前が守れれば、僕の気持ちはどうでも良いんですか?」 「最善の策だ」 「麻里とやり直したいんです」 「何を馬鹿な事を言ってんだ? 面汚しの女房なんか飼って何の意味があるんだ!?」 「貴方がお母さんを皆殺しにしたみたいにでせか!! 仕事の事しか頭にない貴方にお母さんは文句一つ言わず、尽くし死んで行きました。 病気に気が付いても貴方に迷惑が掛かると… 誰にも何も言わずに死んで逝ったんです。 貴方はいつも正しかった。 いつも絶対だった。 でもいつも父親ではなかった」 「勝手にしろ!」 典良の初めての父へのに反抗であった。 オフィスを出た栄作は感情的になり血圧が上がり心臓を抑えていた。 典良は直人に麻里を気遣えなかった事を思いを打ち明けて、何気に事件が起こった日も出張していたと話す。 そして直人から宗田を殺した人物に心当たりはないか?と尋ねられた典良は、動揺して言葉を荒げて知らないと言い放した。 その頃、成瀬は葛西に麻里がアリバイを証言してくれた事を伝えていた。 「そんな…」 「これで貴方の殺人容疑は晴れます」 「嘘です!俺はあの人と一緒になんかいませんでした!」 「解ってあげて下さい。 彼女は貴方の為に全てを失う覚悟で証言したんです。 彼女が望んでいる事は貴方が救われる事です」 成瀬は麻里の気持ちを葛西に伝えながらも、しおりの言葉をを思い出して、自分に言い聞かせているかの様に葛西に言う。 「彼女を大切に想うなら、その気持ちを解ってあげて下さい」 葛西との面会を終えた成瀬は階段で芹沢と出会った。 「これで満足ですか? 全て貴方の思い通りに進んでいます。 おかしいんです… 貴方を心底、憎もうとすると英雄と貴方のお母さんの事が浮かんで来る。 貴方を捕まえる事を考えるとやりきれない気持ちになるんです。 貴方を通して俺を見ている様で… 貴方は俺と同じかも知れない… 自分の罪に苦しみ、もがき後悔しても仕切れない、そんな顔をしています」 「一緒にしないで下さい…」 芹沢は去り行く成瀬を呼び止める。 「真中友雄さん!! すみませんでした!! 貴方にずうっと謝りたかったんでせ。 11年前のあの日から、ずうっと… あの事件の後、家を訪ねて行ったんです。 でも、もう引き払った後で… 死んで償う事も考えました。 でも、ここまで生きて来てしまいました」 芹沢は泣きながら自分の抱いていた気持ちを成瀬に話し続ける。 「刑事になれば悪い奴を捕まえて、人の役に立てていれば許される様な気でいたのです。 でも、それは間違っていました。 貴方をこんな目に合わせたのも全部、俺の責任です。 だから何でも貴方の望む様にします! 死ねと言うなら、ここで死にます!!」 「止めて下さい!! 今更、何を言われても結末は変わりません」 「…貴方は俺をどうしたいんですか?」 「答えは、もう直ぐそこまで来ています」 成瀬は芹沢に告げて歩き出す。 成瀬の前方から刑事の高塚(上原美佐)が赤い封筒を持って芹沢の元に駆け寄り、封筒を手渡した。 その光景を成瀬が振り向き見つめている。 芹沢が開封すると中から宗田の殺害された現場で盗撮された典良の写真が入っていた。 同時に典良の元にも同じ物が届けられて、典良は動揺する。 夜になり成瀬は山野圭太(清水優)と会う。 「これで、やっと英雄に償ぐ萎える。 ずっと後悔してたんです。 芹沢が正当防衛なんかじゃないって、証言しなかった僕… あの四人に虐められている僕を助けてくれたのは英雄だけだったのに… それなのに僕は英雄を裏切ったんだ…」 「貴方は十分、償ないました。 これが最後の仕事です」 成瀬は赤い封筒を置いて去った。 芹沢はしおりの元を訪ねると宗田の殺害現場に落ちていた葛西の名前入り万年筆の透視を依頼する。 そして何が見えても全てを教えて欲しいと頼んだ。 透視の結果、血まみれの男に男性がタバコを差し出して、後に血まみれの男が倒れた残像であった。 芹沢はタバコを差し出した人物の写真を机の上に置いて見せて指を指して尋ねた。 「…この人ですか?…」 「そうです!この人がタバコを」 様子のおかしい芹沢を見てしおりは心配した。 「もしかして…、お知り合いの方なんですか?」 「俺の…、兄貴です」 降りしきる雨の中を芹沢は呆然としながら歩き崩れ落ちてしまう。 翌日、栄作のオフィスに成瀬は出向いた。 「息子達は解っていない。 私がどんな思いをして、ここまで辿り着いたか… 全うなやり方だけでは地位も財産も築けませんよ。 アイツでは先が不安で死んでも死に切れません。 もし私が倒れる様な事があったら、息子達を支えてやって貰えませんが?」 「勿論です。 いつ何処にいても、この私が貴方の息子さんを見守るります」 成瀬の返事を聞いて栄作は安堵した。 「この11年、芹沢家の事だけを考えて生きて来ました。 有難うございました。 変わらず元気でいて下さいまして… 落ちぶれる事もなく、他人を犠牲にして…」 「あっ…!?」 栄作はハッとなり、言葉を失うと同時に記憶が甦った。 『覚えていて下さい。 この僕が貴方の息子と家族を見ている事を… そして再び会い来る事を…』 それは、かつて栄作の元を訪れた真中友雄の言葉であった。 「見事だ…。あの日の言葉通りに会いに来たという訳だ。 悔しかっただろうな…、それは当然だよ。 君の気持ちは良く解る。 11年前の私には、あれが正しい選択だと思えた。 正当防衛に仕立てる事が息子の為に父親が出来る最善の選択だった。 今また同じ立場に置かれたら、同じ選択をするだろう。 それが親というものだ」 「私こ母親も貴方と同じ様に息子達を愛していました。 でも貴方は愛する息子を奪われた母を更に傷付け、踏みにじった。 自分がどれだけ他人を苦しめたのか考えた事が有りますか!? 私は貴方を許さない!」 栄作は頷きながら聞き返した。 「自分の事はどうなんだ? 君も又、自分の目的の為に他人を不幸にしている。 君も曲がった線を真っすぐだと信じてるだけだよ。 11年前望むあの時、直人は英雄君を刺してはいない。 直人は私に必死で訴えた。 あれは不慮の事故だったんだよ」 「貴方はそんな言葉を信じるんですか?」 「息子の言葉を信じない父親が何処にいる? だか、あの状況から見てあれが事故などとは世間に通用する訳がない。 だから息子の為に正当防衛にする他なかった。 でもね、真中友雄君、あれは事故だったんだよ」 成瀬は立ち上がると厳しい口調で言い放す。 「そんなのは問題じゃない! 現に英雄は死んだんです!」 「すまなかった」 栄作は立ち上がると詫びの言葉を述べて、成瀬に向かって深々と頭を下げた。 成瀬は何も言わずに部屋を飛び出して去って行った。 一方、刑事課では芹沢が宗田殺しの重要参考人として兄・典良への令状の手配を係長・中西に申し出た。 「真実を隠してはいけないんです」 オフィスにいた典良は急遽パリへの出張で麻里を連れて行こうしたが拒絶される。 「俺の為にこんな事も出来ないのか? 俺達は夫婦だぞ?」 「貴方に私は必要じゃない… 私と別れないのは貴方の体裁の為よ! 貴方は私を愛してない! お願いします…別れて下さい」 その瞬間、典良が麻里の頬を叩いた。 「俺より葛西を選ぶのか?」 「…さようなら」 典良は麻里が去った後に暫くの時間、懐かしむ様に結婚式のアルバムを眺めていた。 そこへ直人が同僚の高塚と倉田刑事らとやって来た。 「宗田殺害の件で署まで御同行、願います」 「…何で俺が?」 直人は殺害現場で典良の写る写真を差し出して見せた。 「詳しい事は署で伺います」 「俺はいっだって、お前を庇って来た! なのにお前は…」 「人が過去を忘れても、過去は決して人を忘れない。 頼む兄貴、罪を償ってくれ…」 典良は高塚と倉田刑事に囲まれながら連行されて行った。 一方、成瀬は苦悩する中で教会を訪れた。 教会の中では聖母マリア像の前に立ち祈りを捧げている、しおりの姿があった。 しおりは帰ろうとする成瀬を引き止めた。 「本当は迷ってるんじゃないですか? 暗いトンネルの奥で戸惑ってるんじゃないんですか? 勇気を出して出て来て下さい。 どんなに苦しくても… やりきれなくても… 暗いトンネルの中から出て来て下さい」 しおりは泣きながら説得する。 「もう…、戻る事は出来ない」 「もう…、止めて… 貴方を想うと辛いんです。 成瀬さんを想うと胸が苦しくなるんです… あんなに笑う成瀬さんがこんな恐ろしい事を…」 「…これが僕の本当の姿です」 「そんな筈ない!! 本当の貴方は真中友雄さんは弟さん思いの優しい人です」 「僕は…、真中友雄ではありませんよ。 名前も過去も全て捨てたんです。 英雄が死んだ時から…」 しおりは立ち去ろうとする成瀬を追い駆けて腕を掴み泣きながら説得を続ける。 「自分を捨てないで下さい!! 何で自分を愛してあげないんですか!? 何でそんなに自分を傷付けるんですか!? 貴方は皆に愛されるべき人なんです!! お願いします。 もう自分を苦しめないで下さい!」 成瀬は涙を零し、自分の本当の気持ちを押し殺して言い放した。 「…僕には…、愛なんて必要ない…」 成瀬はしおりの手を振り払うと教会を出て行き、しおりはその場で泣き崩れた。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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