第2話「裏切りの罠〜引き裂かれた親子」


11年前の忌まわしい事件で芹沢(生田斗真)が成瀬(大野智)の弟・英雄を刺殺してしまった事で成瀬の壮大な復讐は、その記憶を芹沢に呼び覚ます事から始まったのだった。

その事件の担当弁護士であり、直人の父・栄作(石坂浩二)が経営する会社の顧問でもあった熊田弁護士が殺された翌日の夜、雨が降りしきる中で通夜が営まれていた。

芹沢家の面々が出席している中、加害者・林(きたろう)の弁護人・成瀬も弔問にやって来た。

成瀬が現れて芹沢は少し驚いた。

「成瀬先生・・・」

成瀬は芹沢家の人々に会釈する。

「加害者の弁護士です」

芹沢の兄・典良(劇団ひとり)は隣の父・栄作(石坂浩二)に説明した。

「お体は大丈夫ですか?
昨日は、かなりお疲れの様でしたから心配しました」

「それは、どうも。俺は平気です」

「それは良かった。事件も解決したし、ゆっくり休んで下さい」

「事件は、まだ終っていません。
この事件の裏には雨野真実という黒幕がいます。
そいつを捕まえるまで、事件は俺が終わらせません」

成瀬は黙って芹沢を見つめている。

「父と兄と姉です。弁護士の成瀬さんです」

芹沢が家族に紹介すると成瀬はお辞儀をした。

「貴方のお噂は聞いていますよ。天使の弁護士として」

「マスコミが勝手にそう言ってるだけです。
場合によっては、私だって悪魔になりますよ」

「あはははっ。熊田さんは、うちの顧問弁護士でね。
有能な人材を失う事は我社にとっても、私にとっても大きな痛手です」

成瀬と初めて顔を合わせた栄作は、彼い関心を示していた。

「ところで、どうでしょう成瀬さん・・・
貴方が我社の顧問になるというのは?」

栄作は成瀬に申し出た。

「身に余る、お誘い有難うございます。
少し考える時間を下さい」

芹沢や典良が困惑する中、成瀬は意味深な冷たい笑みが浮かんでいた。
そして、お辞儀をすると焼香場所へと向かって行った。

栄作は成瀬の後ろ姿を見て『使える男』だと自負していた。

成瀬は通夜に列席しなかまら弟・英雄の葬儀の事。
そして、その弟の葬儀中に母が心臓発作を起こして亡くなってしまった事を思い出していた。

数日後、芹沢は中学時代からの親友で今は取立て屋をしている石本陽介。
もう一人は芹沢の父・栄作が経営して兄・典良が営む芹沢リゾートの社長秘書をしている葛西均と飲み屋に集まっていた。

その席には先日、暴行容疑で拘留されていた宗田が成瀬の弁護により、示談成立となり保釈されて駆け付けた。
そして宗田が中学時代の写真を見せ出した。

芹沢は写真を見るなり、頭の中に過去に犯した刺殺事件がの光景が甦っていた。

その時、宗田に招かれていた成瀬が店にやって来た。

「天使の弁護士。成瀬先生だ!」

宗田は仲間の前で自慢げに紹介して、仲間の事も成瀬に紹介した。

芹沢は暫く言葉が出せずにいた。
ある程度の時間が経過して、酔い出した宗田を見て芹沢は忠告をした。

「宗田、いい加減に大人になれよ」

「なんだよ、その上から目線はよ。
昔の恩を忘れちゃったか?」

宗田の一言で途端に芹沢や仲間達の顔色が変わった。

「皮肉なもんだよな。俺が前科者で、お前が刑事かよ。
いいよな。持つべきもんは金持ちの親父だな。
羨ましいぜ。御曹司さんよ」

宗田の態度にブチ切れた石本が殴り掛かり、喧嘩の仲裁をしたのは芹沢だった。

翌日、成瀬は図書館へ行き、咲田しおり(小林涼子)と再会した。

成瀬は受付に飾られている、亡き母が好きであった百合の花を見て、懐かしんだ気持ちをしおりに話した。

「私も大好きなんです」と、しおりは嬉しそうに笑顔で答えた。

成瀬は百合の花を手に取り、夏の香りを感じていた。

一方、熊田殺人事件の捜査本部が縮小される中、地道に『雨野真実』を探していた芹沢の元に新たに宅配便が届いた。

中には前回とは違う「月」のタロットカード。
そして《全てのものが一つの全体を作りあげ、いつが他と響き合い作用し合う》と書かれた意味不明の謎の手紙が同封されていた。

その頃、公園では砂場で一人遊んでいる少女・空がいた。
そして少女の元へ近寄った男が可愛らしいクマの縫いぐるみをプレゼントした。
この事を知った母・新谷多恵が辺りを見回した時には既に男の姿はなかった。

芹沢はタロットカードが届いて直ぐに熊田弁護士が殺された事に気付き、中西(三宅裕司)に今回も自分の知り合いの人間が狙われる予告殺人ではないか?と予測する。

これは刑事である芹沢への挑戦状でもあった。

誰かの恨みをかう人間……

芹沢が思い当たったのは父・栄作だった。
早速、父の元へ向かい事情を話したが父からは全く相手にされない。

兄の典良が心配する中、秘書の葛西の携帯が鳴った。
葛西は着信名を見て、「友達」だからと言って出ようとしない。

「友達だって怪しいぞ!脅迫電話かも知れない。出ろ!」

典良に言われて、葛西は渋々と電話に出て素っ気ない口調で直ぐに電話を切った。
そして電話の相手が大学時代からの友人だったと芹沢と典良に嘘を付いた。

何故なら、電話の本当の相手は典良の妻からであり、2人は不倫関係であったからである。

一方、しおりは図書館で仕事を終えると昼間に成瀬が手に取った受付に飾ってある百合の花を見て、何気に茎に触れてみた。

すると瞬時に百合の花と女性の遺影写真の残像が写し出された。
しおりが我に返り振り向くと成瀬が訪れて来た。

2人は一緒に帰りながら、お互いの幼少期の事を話し合った。

「あの初めて、お会いした時の事を覚えてます?
今、思うと同じ匂いを感じたのかな…?」

しおりは恥ずかしそうに言った。

「僕も同じです」

2人の間には、淡い感情が芽生えていた。

しおりは自分の手伝っているカフェに成瀬を誘い、成瀬も又しおりに約束した。

翌日、芹沢の友人で取立て屋の石本は芹沢の父の会社のパ−ト従業員・多恵に電話を掛けて借金返済を迫っていた。



石本は多恵からの借金回収が済んだら、取り立て屋の仕事を辞めて居酒屋を開店する予定で既に店舗も決めいた。
しかし、多恵からの回収が済まない事には資金不足で開店出来ない。

芹沢は石本の為に回収分の資金を兄・典良に話し頼んで借りてやると約束した。

成瀬は約束通り、しおりの店にコ−ヒ−を飲みにやって来た。
嬉しそうに成瀬を出迎えるしおり。

そして、成瀬がコ−ヒ−を飲み終えた頃、芹沢がしおりを訪ねてやって来た。

「成瀬さん、どうして?」

「美味しいコ−ヒ−を飲みに来ました。
では僕これで。
何か急用でも有る様ですし」

しおりは申し訳なさそうに謝った。

「しおりさんが謝る必要はありませんよ」

成瀬は入口に立っている芹沢の前まで行くと帰り際に言った。

「知的なお父様ですね。誠実という言葉がピッタリです」

そう言い残して、成瀬は店を出て行った。

芹沢は、新たに送られて来た月のタロットカ―ドを見て貰う為にやって来たのだった。

月のカ−ドは、待つ事を意味して【今は夜で不安な状態だから明るくなるまで待て】という意味で、謎めいた事が起きる暗示であった。

しかし その謎に対して、なす術はなく動く程に混乱してしまうという事であった。

しおりの透視の結果は、クマの縫いぐるみと大きなホテルのロビーに翼の生えた彫刻と拳銃の残像を見た。

しおりから結果を聞かされた芹沢は、父の栄作が狙われていると確信して急いでホテルに向かった。

芹沢は栄作に憎まれても父には部屋から一歩も出ない様に職務として厳命した。

そして、芹沢が栄作の部屋の前で警護していると成瀬がやって来た。



「良くお会いしますね。何かあったんですか?」

「いえ、別に。成瀬さんこそ何か?」

「お父様に顧問弁護士の件で」

「すいません。今日は誰にも会えないと言ってました」

「そうですか。分かりました。
顔色が優れませんね。何か心配事でも?」

「いや、ちょっと疲れてるだけですよ」

「疲労は判断を誤らせる原因です。
たまには、ゆっくり休んで下さい。
でないと本当に大事な事を見落としてしまいますよ」

成瀬は冷静に諭す様に芹沢に言って去った。

翌日、多恵は娘の空と公園に散歩に行った。
空はクマの縫いぐるみを抱えながら遊んでいる。
一瞬 多恵が目を離した隙に空の姿が見えなくなり慌てて探し回る。

多恵は取り立て屋の石本が連れ去ったと思い込んで電話を掛けた。
しかし、石本には多恵が言っている意味が全く理解出来ず、怒鳴って電話を切った。

その後で石本は前回、芹沢が話をした資金話の経過を知りたくて電話を掛けた。
2人が電話で話している時に石本の元に宅配便が届けられた。

芹沢は差出人の名前を尋ねると『雨野真実』だと聞かされた。
中には、月のタロットカ−ドとクマの縫いぐるみが入っていた。

芹沢は自分が向かうまで部屋から出るなと警告して急いで石本の元へと向かう。

芹沢が来るのを待っていた石本の元へ多恵が娘の空を探しにやって来た。
ソファーの上に放置されたクマの縫いぐるみを見つ多恵は娘の物だと勘違いして護身用のスプレー銃を石本に向けた。

芹沢が駆け付けた時には多恵はおらず、石本が痙攣を引き起こして倒れていた。

一方、成瀬としおりは養護施設の教会の中にいた。

静寂の中、成瀬はマリア像を見つめながら、百合の花言葉の意味をしおりに説明した。

それは純潔と無垢と聖母マリアの象徴であった。

教会の前で少女の泣き声を聞いた2人は外に出た。

その少女は多恵の娘の空だった。

しおりは、少女の持っていたクマの縫いぐるみを見て先日、芹沢の持って来た月のタロットを透視した時に見た残像の物と同じ物であった。

成瀬が空の前に座って優しく尋ねた。

「どうしたの?迷子?」

空は成瀬を見て小さく頷いた。

「もう大丈夫だよ。大丈夫だからね」

成瀬は、泣きじゃくる空を抱きしめて、安心させながら不適な表情を浮かべていた…。



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