第5話「殺人予告〜魔王に届く赤い封筒」


成瀬(大野智)は、姉の真紀子(優香)を見舞う為に海沿いにある病院を訪れていた。

「久しぶり、姉さん。これ、お見舞い」

成瀬は姉の手を取り花束を渡して握手をした。

「領、来てくれたんだ。ありがとう。
少し痩せたんじゃない?大丈夫?」

「僕は元気だよ。姉さんこそ体はどう?」

「私も元気よ!」

真紀子は重い病気を患い又、病気の影響で盲目でもあった。

真紀子は、小学生の頃に領と食べたスイカの話を懐かしがる様に話した。
その当時、領はスイカの種を喉に詰まらせて、姉に『お腹から生えて来る』と冗談を言われて泣いていた事があった。

成瀬は一瞬、動揺するが思い出した様に姉に話を合わせた。



一方、芹沢は図書館の本に挟まれていた赤い封筒を見つけていた。
その中には「ソ−ドのエ−ス」のタロットカードと意味不明の手紙が入っていた。

タロットカードの意味は、「愛や憎しみにおける大きな力や生きる事は、悪い事で避けられない変化が起きる事」を暗示したカ−ドであった。

手紙には《LIVE=EVIL》という暗号のような一文だけが書かれていた。

「生きる事は悪い事…」

しおり(小林涼子)は不吉な予感を感じて透視を試みた。
倒れる鉄骨と山野(清水優)がロッカーからの中から、赤い封筒を取り出す姿の残像を読み取った。

透視の結果を聞いた芹沢は、やはり山野こそが真犯人の『雨野真実』あると確信する。

病院を出た成瀬は車の中で二人の少年が写った写真を見て呟いた。

「…お姉さんは元気だったよ。領…」

車の中の成瀬の姿を雑誌記者の池畑(六平直政)が盗撮して.笑みを浮かべていた。
そして池畑は成瀬の尾行を始めた。

芹沢も同僚の高塚と山野の張り込みをして現れた山野を尾行する。
そして山野がコインロッカーを開けた瞬間、芹沢が封筒を奪い取り中身を確かめるとただの原稿用紙だった…。
芹沢は翻弄されて証拠が掴めずに苛立ち山野に迫った。

「やるなら他人を巻き込まずに自分の手で俺を殺せ!」

「…僕は君みたいな人殺しじゃない」

山野は芹沢に言い捨てて去って行った。

芹沢は11年もの間、ずっと拭い去れる事のない重く深い罪悪感に縛り付けられていた。

池畑に尾行されている事に気が付いていた成瀬は、上手く捲いて山野と密会した。

「流石ですね。あいつ面白い位に計画通りに…」

山野は今日の出来事を思すと笑いながら成瀬に報告をした。

「これからですよ。まだ地声の門をくぐっただけです」

「僕は次に何をすれば?」

「とりあえず、次の指示を待って下さい」

「もう少し、教えて下さいよ。僕だって仲間じゃないですか」

「知らない事で救われる事も有るんです。
それでも知りたいですか?」

成瀬の冷たい表情を見て、山野は黙り込んだ。

翌日、公園でジョギングする芹沢栄作(石坂浩二)に池畑が声を掛けた。

そして、「最近の連続殺人事件と息子・直人の犯した刺殺事件の関係性をスコミに露見させたら面白いだろうな…」と笑って話して、去って行った。

栄作は息子の周辺で何が起きているのかを葛西に連絡して調べさせる。

電話を切った葛西に典良(劇団ひとり)が、妻・麻里が会社のロビーで待っているからと告げた。
ロビーで夫・典良を待つ麻里の元へ宗田が声を掛けて来た。

麻里は以前に葛西均の部屋で密会していた時に宗田が訪れて来て、親戚という事で顔を見られていたのだった。

「葛西の彼女だよね?覚えてない?
あいつの部屋で会ったでしょ?
あいつ従姉妹なんて言って慌てちゃってさ。
彼氏と約束?俺もあいつに会いに来たんだよ」

麻里は、宗田が話している間に遠方から、夫・典良と不倫相手の葛西の姿を見つけるとトイレへと去って行った。

麻里の姿が見当たらない事から、葛西は「車で待ってるのでは?」と気を効かせた。

宗田は、葛西に彼女が来ている事を告げて一緒に昼ご飯に誘った。
葛西は動揺して青ざめ宗田を跳ね退ける。

「彼女が出来たのか?』と、典良が葛西に問う。

「宗田が勘違いをしているのだけです」と
葛西は誤魔化して難を逃れた。

その頃、池畑は警察関係の刑事からワイロを渡して情報を得ていた。

一方 成瀬はしおりから連絡を受けてカフェに駆け付けた。
すると空が母・多恵が人殺ししたと周りから言われて泣きながら一人訪ねて来たのだった。
空は成瀬に宥められると落ち着きを取り戻した。

成瀬はしおりに問い掛けてみた。

「しおりさんは怖くないんですか?
殺人事件に関わっているという事・・・」

「怖いです。でも、その人を止めたいんです。その人もきっと辛いから。
自分がこれ以上、犠牲者を出さない様に止めて欲しいんだと思います』

「何故・・・そうだと?」

「きっと、誰かに救って貰いたいんだと思います。
私には出来るか判らないですけど、その人の為に止めてあげたいんです。
だから、犯人からのメッセージを読み解いてあげないと」

一方、芹沢たち刑事課は文字を並べ変えると『真中友雄』になった事に気が付き、彼の死に至った原因詳細の捜査を開始する。

しおりは、芹沢が見つけ出した『神曲』の本に触れて透視を始めると倒れてしまった。

成瀬はしおりを寝かし付けると、彼女と出会ってからの彼女の言葉一つ一つを思い出しながら、呟いた。

「もう・・・止められないんだ・・・」

芹沢と高塚の捜査で真中友雄は学生証から身元が判明した。
身寄りのなかった彼はホ−ムレスの様な生活をしていて、台風が来た日に雨宿りをしていた資材置場の倒れた鉄骨の下敷きになっていた。

しおりが眠り続けて成瀬が見守る中、彼女の携帯に芹沢から電話が掛かって来た。
成瀬は窓際に立ち電話をとった。

「はい。成瀬です」

「え、えっ?どうして貴方が?」

「今、寝ているので代わりに取りました」

「どういう事ですか?」

「そのままの意味です。また掛けて下さい。では」

芹沢は把握出来ずに複雑な気持ちで電話を切られた。



「大丈夫ですか?」

「はい、すいませんでした」

「お疲れの様ですね。もう少し休まれたらどうです?
僕ももう少し仕事サボりたいので」

「冗談も言うんですね」と、しおりは微笑んで答えた。

帰り際に成瀬は、しおりに自分の思いを打ち明け様としたが躊躇して止めてしまう。

翌日、芹沢はしおりの元を訪れて『雨野真実』の文字を入れ替えると真中英雄の兄の名前になる事を告げた。

又、しおりが昨日、透視して倒れた時に見た残像は図書館の本棚の隙間から見える自分の姿だった。
そして、芹沢に11年前の事件の第一発見者であり警察に証言した事。
そして、その時に初めて自分の能力を知った事を告白した。

その為に犯人は自分を巻き込んだと、しおりは推測した。

「すみません・・・俺のせいで・・・」

「刑事さんのせいじゃありません。
私の方こそ、ごめんなさい。言い出せなくて」

「しおりさん、俺、あの時・・・」

芹沢は、しおりを見て何かを言い掛けるが言えずに出て行った。

芹沢は呆然と歩きながら、少年時代の事件時の様子を思い出していた。

「お前なんか怖くない!」

「なら、これならどうだ・・・」

ナイフを持った芹沢が、ためらう事なく英雄の腹にナイフを突き刺していた。


芹沢は父・栄作に呼び出されてから手を引けと言われた。
しかし事件の発端が自分にあるとして譲らない。

「起きた事は仕方がない。だが、この件は絶対に外部に漏れてはならん。黙って私の言う通りにしろ」

「それが心配だったんですね」

芹沢は事件当時にめ世間体を気にする栄作から同じ様に言われていた。

「私の言う通り刑事を辞めろ」

「辞めても何も解決しません」

「口答えするな!」

「いつになったら信じて貰えるんですか?
TT年前のあの時も俺の事、信じてくれませんでしたよね?
そのお陰で俺は正当防衛で無罪になりました。
でも父さん、俺はそんな事を望んではいなかった!!
少年院に行っても殴られても良かった。
ただ俺の事を信じて欲しかったんだ!!
俺は逃げる気はありません。
犯人からも、父さんからも」

芹沢は泣きながら自分の気持ちを栄作に伝えると部屋を出て行った。

その後 店で一人酒を飲んで酔っている芹沢の所に成瀬が現れた。

「隣 良いですか?」

「どうぞ」

「何か有ったんですか?」

「刑事を辞めろと言われました。
けど辞められません。この事件が解決するまでは」

「・・・何故です?」

「犯人の顔が見たいから。
そいつに会って聞きたい事が有るんですよ。
俺は人は皆、元々は良い奴だと思うんですよ。
きっと犯人もそうです。でも俺のせいで悪党にしてしまったんじゃないかと・・・」

「諦めないで下さい。最後まで絶対に」

「有難うございます」

「どうか犯人に早く辿り着いて下さい」

「・・・はい」



成瀬が明かりの消えた事務所のオフィスに戻ると机の上に郵便物と赤い封筒が置いてあった。
恐る恐る封筒 を手に取り宛名を見ると自分の名前『成瀬領様』と書かれ、タロットカ−ドが入っていた。

その時 暗闇から池畑が現れて顔を貸して欲しいと成瀬を外に呼び出した。
そして、ある事件について語り始めた。

「これは、ある資材置場の人間から聞いた話なんですけどね。
10年前、そこで事故死した少年がいたんです。
顔が目茶苦茶に潰れて、通報したのは一緒にいた友達だった。
事故の翌日、現場立ち尽くして以来、一度も見掛けなくなった。
妙な事にその時は、まだ事故の事は知らずに傍らの姿が見えないから、尋ねたら『友雄は死んだんです』と言った。
この話どこが妙だと思います?その男は、そこに立っていた少年こそが友雄だったと言うんです。

おかしいじゃないですか。事故死したのは友雄という人間なんですよ。
10年前のその日もその男は少年に聞いてみたそうです。『友雄はお前だろ?』って・・・」

成瀬自身、池畑からの話を黙って聞きながら、その時の光景を思い出していた。

「友雄は死んだんです」

「友雄はお前だろ?」

「いいえ・・・僕の名前は領です」

池畑は笑みを浮かべて成瀬に問いた。

「どうです?面白くないですか?
成瀬先生・・・いや、真中友雄さん」

夜の闇の中に池畑の笑い声が響き渡った…。



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