第6話「教えてやるよ…真犯人の正体を」
成瀬領(大野智)の過去を探る記者・池畑(六平直政)。

成瀬は本当は真中英雄の兄・友雄である事。

そして、友人だった成瀬領が事故に遭った際に身元を証明する者が誰もいない家出少年だった事を利用して、入れ替わり『成瀬領』に成り済まして生きていると突き詰めて来た。

「人違いなさってませんか?私は成瀬領です」

立ち去る成瀬に池畑は食い下がる。

「良い人を選びましたね。親族は目の見えない姉が一人。
身元を証明する者がいない家出少年。成瀬領か…。
貴方は彼が死ぬ時、現場に居合わせ天が与えたチャンスだと思った。
そして、真中友雄の名前を捨て、成瀬領として生まれ変わった。殺された弟の復職の為に…」

「凄い想像力ですね」

「資材置場で聞いた話は録音して有るんですよ。
これでも、しらを切り通せますかね?
別に復職を邪魔しょうなど思っていません。
むしろ、芹沢栄作が苦しむなら願ったり叶ったりだ。
でも気付いちゃった以上はね…。
見逃す代わりに5千万、先生なら可能な額でしょ?」と、池畑は強気に要求してき来た。

「仮に私が泊真中友雄であっても、それだけでは事件を企てた証拠にはなりません」

「ゆっくり考えて下さい。ただ返事次第では、別の選択をしますがね」

池畑は成瀬に歩み寄ると証言されたコピーしたCD-R手渡し笑みを浮かべた。

「このカ−ド、貴方の仕業ですね」

「先生の真似をしたんですよ。ご感想は?」

「皮肉ですね。「搭」のカ−ドを選ぶなんて。これは、悲劇・災難・転落を意味します」



成瀬は立ち去り、山野(清水優)と会う。

そして、池畑から送られた「搭」の意味する、相応しいラストを用意して、赤い封筒を利用して山野に仕事を依頼する。

成瀬は、渋谷東署に出向くと自分宛てに差出人不明の赤い封筒が届いた事を芹沢直人(生田斗真)に申し出た。

成瀬は、芹沢栄作の顧問弁護士だから犯人のメッセージとして送り付けて来たのでははないか?と推測して言った。

封筒の中には、直人(生田斗真)の父・栄作(石坂浩二)と表向きは実業家だが実際は誘拐や殺し。
金さえ払えば何でもやるという噂の裏社会の大物・大隈との密会写真が入っていた。

その写真は山野が盗撮した物で、成瀬の策略通りに芹沢は父親とヤクザの大物との密会に不穏な気配を感じさせた。

その時、芹沢の元にしおり(小林涼子)から『神曲』の残像を見たと連絡が入り、「ガランサス」を訪れる。

透視して見えたのは、芹沢の犯した刺殺事件で虐めがなかったと父・栄作が息子を庇い知り合いの記者に書かせた捏造記事であった。
そして、成瀬に届けられた写真を見せる。

しおりは、成瀬に届けられた事に驚きながらも写真の透視を試みた。
「ソ−ドのエ−ス」のタロットと赤い封筒の宛名に「池畑隆宏様」と書かれた残像を見た。

芹沢は次に狙われる可能性があるのは池畑だと推測する。

「カ−ドが届くという事は次がその人が・・・、刑事さん!成瀬さんは大丈夫なんでしょうか?」

成瀬の元に赤い封筒が届いたと聞かされたしおりは、成瀬の身に何かが起こるのではないかと心配する。

「狙われるのは、11年前の事件に関わった者だけです。心配しないで下さい。
犯人は必ず俺が捕まえます」

芹沢はしおりを見つめながら、励ますしか術がなく、複雑な思いを抱きながら答えた。

その後 芹沢は池畑の元を訪ねてタロットが届いていないか確認するが池畑は全く相手にしない。

「殺人事件に巻き込まれるかも知れないんです。
貴方を守る為なんです。捜査に協力して下さい」

「あんたに守って貰おうなんて思わないね。あんたみたいな人殺しに。
正義面している悪党の方がよっぽど怖いよ」

「俺のせいなんです。あの事件のせいで、今別の事件が起きています。
だから、俺が止めなきゃならないんです!
何か有ったら連絡下さい」

芹沢は必死に池畑に言うと連絡先の名刺を手渡した。

成瀬は、芹沢の父・栄作と会うと芹沢に提出した同じ写真を栄作にも見せて、池畑の仕業だと思わせる。

芹沢は父・栄作の会社を訪れてまず、級友の葛西(田中圭)の元へ行き、栄作と大隈の密会写真を見せて2人が何を企んでいるのかを問い詰めた。
葛西は池畑が11年前の事件の事で脅しを掛けて来た事を告げた。

芹沢は、次いで栄作の元へ行き、「大隈に池畑を殺させるのではないか?」と問い詰めるが栄作は耳を傾けない。
芹沢は、犯人は栄作を操り誘導して池畑を殺害しようとしていると説得する。

しかし、栄作は自分の人生は息子の尻拭いの為にあるのではないと怒鳴り付けた。

芹沢は栄作に詫びの言葉を言うと部屋を出て行った。

側で見ていた典良(劇団ひとり)は弟を不憫に思い言う。

「お父さん、いくら何でも言い過ぎでは?」

「黙れ!!」

「お飾りの長男は黙ってろという事ですか?僕だって、芹沢家の一員です。
それなのに、お父さんはいつまで経っても認めてくれない。
僕も直人もお父さんと同じ様に芹沢家の事を思っているんです!」

「だったら大人しく、私の言う通りにしろ!」

成瀬は芹沢をロビーで待ち、2人は歩きながら話をした。

「親父を頼みます。親父を守ってやって下さい。
俺は刑事として、見守る事しか出来ないから」

「お任せ下さい。では・・・」

芹沢は立ち去る成瀬を呼び止めた。

「あの、どうして、この一連の事件には必ず貴方が関わって来るのでしょう。
林と石本の弁護。空ちゃんを保護したのも貴方です。それに赤い封筒まで届いた」

「芹沢さんは何故だと思われますか?」

「この事件に偶然はありません。きっと貴方も何か意味があって」

「私も同じ考えです。復職・・・」

「えっ!?」

「芹沢さんも今回の事件も11年前の殺人事件の復職だと、お考えなのでは?
失礼しました。殺人事件ではなかったですよね」

「いえ・・・・でも、どうして、それを成瀬さんが・・・?」

「池畑さんという記者の方から聞きました。
私はお父様の顧問弁護士を辞退する様、色々と情報を吹き込んだみたいです。
調べて下さい。どうして私が、この事件に巻き込まれているかを私も知りたいですから」

「何か理由が有って巻き込まれてるなら、犯人は貴方の周辺にいる可能性があります。
誰か心当たりは有りませんか?」

「11年前の事件の真実を知っているのは貴方だけです。
つまり1番近い人物は貴方なのでは?」

芹沢は署に戻り、父・栄作と大隈が繋がっていた事を報告する。
その一方で栄作は大隈に池畑の口を封じるよう命令する。

一方 成瀬の携帯に姉の真紀子(優香)から電話が入り、雑誌記者の池畑から取材を受けて池畑と代わった。

「どうも成瀬先生」

「目的は何です?」

「いえ、お姉さんに成瀬先生の本当の姿をお伝えしたいと思いまして。
あの返事の方よく考えて下さいね」

「もう・・・答えは決まっています」

「そうですか。じゃあ、その場所で・・・」



宗田充(忍成修吾)が帰宅すると玄関口に自分宛てに差出人不明の赤い封筒が挟まれていた。
不審に思いながら開封すると中には葛西(田中圭)と彼女・麻里(吉瀬美智子)の抱擁した写真と典良(劇団ひとり)と麻里が微笑み合っている写真が入っていた。

宗田は典良の自宅を張り込み、麻里が外出するのを確認すると直ぐさまインターホンを使い麻里の存在を問いた。
そして家政婦から、たった今外出したばかりだと聞き出すと葛西と麻里の2人が不倫している事実を確信して笑みを浮かべた。



池畑は、成瀬との待ち合わせ場所に行くと自分宛ての赤い封筒を見つけて動揺する。
開封すると「ソ−ドのエ−ス」のタロットカ−ドと池畑が11年前に書いた事件の記事が入っていた。
すると池畑は、直ぐに成瀬に電話を掛ける。

「これが答えか?このカ−ドは何だ!?
殺すっていう意味か!?」

「理由はお分かりになるでしょ?
11年前、貴方が真実をネジ曲げたからです」

「お前・・・もしかして最初から?」

「残念でしたね。貴方が待ち望んでいた芹沢家の崩壊をその目で見れなくて」

一方的に答えると成瀬は電話を切った。

怒り狂った池畑は、全てを暴露する事を決意した。

夜になり、成瀬が事務所に戻ると心配した、しおりが待っていた。



「何事も有りません。御心配なく…、すいません…忙しいので」

それだけ答えると、成瀬はオフィスの中に入って行った。
成瀬の素っ気ない態度にしおりは淋しさを感じながら去って行く。

オフィスの中にの成瀬は、今までのしおりの言葉を思い出し迷いながらも、しおりの後を追い掛け様とドアノブに手を充てた。

しかし、ドアノブから手を離すと自分に言い聞かせる様に呟いた。

「僕に人を愛する資格なんて・・・」

成瀬は復職すべき事だけに全力を注ぐ決意をする。

一方、欲深い池畑は自分の身を案じつつも芹沢の父・栄作に電話を掛ける。
そして一億円を支払えば、一連の事件に息子・直人が関与している事実も暴露しないで姿を消すと迫った。

栄作は池畑の条件を受け入れた後で裏社会の大物・大隈に電話を掛けて、今回は金で片を付ける事を決め秘書・葛西に金を持たせ向かわせるから、今後は池畑に手出しするなと忠告した。

しかし、大隈は部下に連絡を入れて予定通りにやれと命令する。

一方 池畑は防衛策として、芹沢に電話を掛けて父・栄作と裏取引する事実を告げた。

「しかし、あの狸に裏切りられる可能性がある。
だから、この電話の事は誰にも話さず一人で来い。そしたら良い事を教えてやるよ」

「良い事?」

「ふふっ・・・、死んだ奴が相手じゃ、捕まえられねぇよな?」

「えっ・・・!?」

「教えてやるよ。真犯人」

「知ってるんですか!?」

「ふふっ、証言だってある。だから直ぐにこっちに来てくれ」

芹沢から倉庫に到着した事を聞くと池畑が物陰から出て来た。
すると芹沢ではなく大隈の部下達が拳銃を持って取り囲んだ。

案の定、栄作に裏切られたと思った池畑は強気に言い退けた。

「裏切りやがったな。お前らのボスとは話が着いたんだよ。
でも残念だったな。もう直ぐ息子がここに来る」

「残念なのお前の方だ。ボスは代わったんだよ・・・」

恐れた池畑は倉庫の中に逃げ込み必死に階段を駆け登る。
そして、尚も追っ手から逃れ様とした時に足場の板が抜けて転落してしまう。

大隈の部下たちは天井から池畑の瀕死の状態を見て逃げ出した。

そして、その瀕死の池畑の元に歩み寄る人物がいた。

瀕死の池畑は、成瀬領が真中友雄であると証言された証拠のボイスレコーダーを警察に渡して欲しいと託して、歩み寄って来た人物に差し出した。

そして、受け取ったのは成瀬であった。
死に行く最後の際に成瀬の顔を見た池畑は、言葉を発する事も出来ぬまま息絶えた。

一方 芹沢は待ち合わせ場所に池畑が現れない事から携帯を鳴らすと呼び出し音が聞こえて来た。
そして、呼び出し音を頼りに倒れている池畑を発見した。
芹沢は息絶え反応のない池畑を見て、父・栄作の仕業だと愕然となった。

成瀬は、夜の闇を歩きながら証言テ−プを聞き終えると胸ポケットにしまい込んだ。

救急車が成瀬の近くを通過して行く。

路上には1枚の宅配便の伝票が落ちていた。
依頼主は死んだ池畑隆宏の名前が記入されて、商品欄にはCDーRと書かれていた…。



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