第7話「偽りの姉弟』優しい嘘が死を招く』
天使の弁護士』と言われている成瀬領(大野智)の正体が真中友雄であったという事実を突き止めた雑誌記者の池畑(六平直政)は、倉庫の上層から足場が崩れて転落した。

成瀬は、池畑の死に際に立会い、真中友雄であると証言されたボイスレコーダーを回収して危機を脱した。

芹沢直人(生田斗真)が池畑を見つけて駆け付けた時には、既に息絶えて死んでおり、ポケットから赤い封筒と自分に送られた同じ「ソードのエース」のタロットカードを見つける。

「また俺のせいで・・・」

一方、池畑との取引の為に芹沢の父・栄作(石坂浩二)から、預かった金を持った葛西が大隈と共に車中で待機していた。
その大隈の携帯に部下から連絡が入り、池畑の状況を報告された大隈は葛西は問うが何も伝えなかった。
そんな葛西は池畑が現れるのが遅いと感じていた。

翌日、三人目の被害者が出て、芹沢の脳裏には『雨野真実』が父・栄作(石坂浩二)を操って池畑を殺させたのでは?という疑念が拭い去れない。

その頃、栄作はオフィスで池畑の対処を託した大隈からの連絡を待っていた。
そこに芹沢が池畑が死んだ事を告げにやって来る。
池畑の死を知らされた栄作は愕然とする。

「これが父さんが望んだ結果ですか?
取引先に呼び出して大隈に襲わせたんじゃないんですか!?
父さんにも捜査が及ぶかもしれません」

「私を逮捕する気かね?」

芹沢は苦悩しながらも栄作に告げるとオフィスから立ち去った。

栄作は激怒して、大隈に電話を掛けて何故、池畑が死んだかを問い詰める。
また、この件で自分の名前が露見する事は許さないと警告した。

大隈の方は、池畑を消す為に追い詰めたが、転落死で死のうが栄作の計算ずくな事で、栄作にとっては都合の良い事で嵌められたと睨んだ。

一方、捜査本部の会議では、池畑の致命傷は頚椎の損傷で暴行の痕跡も目撃もない事。
池畑に届いタロットカ−ドだけでは立件する事は出来ないから『事故死』と処理せざるを得ないという判断を下そうとしていた。

「待って下さい!間違いなく殺人事件です!
雨野が事故に見せかけて池畑が死ぬ様に仕向けたのです。
見逃すって言うんですか!?これじゃ雨野の思う壺です!」

芹沢は本部の方針に納得出来ずに声を荒げて言い放つと会議室を出て行った。

栄作のオフィスでは、典良(劇団ひとり)が池畑の存在を隠していた事を問いキッパリと言い放した。

「僕はお父さんの後継者です。
今後、問題が起きた時には僕が処理します」

そこへ、刑事として芹沢が警察手帳を提示して栄作に言った。

「署まで同行願います。池畑の死が闇に葬られ様としています。そんな事は俺が絶対に許さない」

栄作は、「本当に自分が殺させたと思っているのか?」と息子に問いた。

「本当の事を話して下さい!池畑は俺に言ったんです。父さんと裏取引するって」

そこに栄作に仕事の事で呼ばれた成瀬が現れた。
栄作は、成瀬に池畑殺しで息子から疑われている事を説明した。

「池畑さん、お亡くなりになったのですか?」

芹沢は、真犯人を捕まえる為に栄作に証言して欲しいと説得するが、成瀬が顧問弁護士として証言を拒む。

「それは出来かねます。どうしてもと言うならば、しかるべき手続きをお取り下さい」

「部外者は黙ってて下さい」

芹沢は成瀬をつっぱねる。

「彼はうちの顧問弁護士だ。部外者ではない。部外者はお前の方だ」

栄作は成瀬を庇い息子に言い放す。

「同じ過ちを繰り返すんですか?
11年前に僕とお父さんが真実を揉み消した為にこんな事件が起きているんです!」

「…自分の父親も信じられんのか?愚かな奴だ!!」

「分かりました。もう、父でも子でもありません」

「刑事として来るなら令状を持って、出直して来るんだ」

芹沢は、栄作と親子の縁を切ると兄・典良の静止を払い退けて部屋を去った。

典良は弟の級友でもあり、その場に居合わせた秘書の葛西に忠告する。

「葛西、お前の立場も解るが親父が何と言おうと俺を信じて相談するべきだった。
俺はお前を信じているんだ。隠し事はしないでくれ」

「すみませんでした…」

魔王と化した成瀬の策略が親子の絆を引き裂いた瞬間であった。

一方 宗田充(忍成修吾)は、池畑のアパートに潜り込んで赤い封筒を盗み出していた。

入れ違いに芹沢と同僚の高塚薫(上原美佐)がアパートを訪れた時には、部屋は荒らされた後であった。

その光景を見て芹沢は池畑が雨野の正体を掴んでいて、雨野が証拠を隠蔽する為に部屋に来たと推測した。

そして、同僚の倉田刑事が池畑が送り主の宅配便の伝票を路上で見つけ、受け取り人の欄には、成瀬真紀子(優香)と商品欄にはCD-Rと書かれていた。
そして、住所の病院を尋ねると成瀬弁護士の姉だと判明した。

その頃、真紀子は弟の領に電話を掛けて問いていた。

「ねぇ、本当に分からないの?」

「…何だっけ?…」

「今日は貴方の誕生日でしょ?」

「あっ…、忘れてた…」

「もう忙し過ぎるのよ。息抜きがてら顔見せてよ。うん、じゃあね」

電話を切った真紀子に看護士から宅配便が届いた事を告げられた。
病室で看護士に準備して貰うと真紀子はリモコンの再生ボタンを押すと池畑の取材したものが流れ出した。

一方、しおり(小林涼子)は成瀬の事務所を訪ねたが外出中で社員から最近、美味しいコ−ヒ−の店があるとの話を聞かされていた事を告げられて大喜びする。

成瀬は花屋で姉の為に好き花を買って病室に行った。
成瀬は元気のない真紀子の様子を見て聞いてみた。

「具合…悪いの?」

真紀子が話そうとした時に芹沢がやって来た。

「何故…?貴方が…!?」

成瀬は動揺して立ち上がる。

「どなたですか?」

「渋谷東署の芹沢と申します」

真紀子も何故 刑事が来たのか理解出来ないでいる。

芹沢は池畑という人物から宅配便が届いてないかを真紀子に尋ねた。

「届きました。何故、警察がそれを?」

「ある事件の重要な証言が録音されている可能性が有るんです。中身はCD-Rですね?」

「…えぇ…」

「今 お持ちですか?」

「はい、そのデッキの中に。どうぞ」

芹沢はデッキの中を確認すると再生ボタンを押した。

しかし、流れて来たのは全て音楽であった。
芹沢は何故、このCD-Rが真紀子に届いたのか尋ねる。

「解りません」

「貴女と池畑のご関係は?」

「一度、領の事で取材を受けましたけど。
それだけです」

「本当にこれだったんですよね?」

「えぇ…」

芹沢は落胆しながらCD-Rを持って病室を去った。

真紀子は、小さい頃から治らない病に侵されて、生きる望みを捨てていた自分の気持ちを静かに語り始めた。

「生きてて良かったなんてT度もなかった。でもね、領…」

「…何?…」

「私には貴方がいてくれた。
この10年、貴方が週に1度、来てくれるのが待ち遠しかった…。
貴方の話が聞け事が嬉しかった…。
貴方が持って来てくれる花が良い香りをさせてるだけで、温かい気持ちになれたの…。
そして…、もっと生きていたいと思った…。
生きてれば、こんなに幸せな時間が私にも有るんだって…。
一人っきりじゃない。私には、領がいるんだって思うだけで、もっと生きたいと思ったもの…。
貴方は…、私の希望だった…」

言葉に出せなかった成瀬は、真紀子を見つめて、涙を零しながら謝った。

「…ごめん…。ずぅっと…」

「いいの…。ずうっと前から、分かっていた…。
貴方が本当に優しかったから。
貴方は私を本当の姉として、いつも気遣ってくれた。
精一杯、領でいてくれようとしてくれた」

成瀬は、泣きながら真紀子の言葉を聞いて小さく頷いた。

「男の子が泣いちゃ駄目でしょ。領は小さい頃から泣き虫なんだから…」

「…ごめん…」

「警察が何を調べているのかは聞かない。
貴方が何をしようとしてるのかも。
だって、貴方を信じてるから。亡くなった領が信じた様に」

そういうと真紀子は、最初に池畑から届いたCDーRを成瀬に差し出した。

「私の事なら大丈夫。もう一人で生きて行ける」

微笑んで言う真紀子から、黙ってCD-Rを受け取り、成瀬が病室を去る時に真紀子は呼び止めて囁いた。

「領…、お誕生日おめでとう」

「…あ、有難う。姉さん…」

成瀬は、流れ出る涙と共に心から真紀子へ御礼を述べて病室を出て行った。

「さようなら…、領…」

そして又、これは姉と弟の別れを意味していた事でもあった。

夕暮れ時、病院の外で芹沢は成瀬を待っていた。

「解らないんです。何故、池畑がお姉さんにコレを送ったのか?
本当は何か別の物が届いてるんじゃ…」

「どういう意味です?」

「何かを隠す為にスリ替えたとか…」

「姉が嘘を付いてると、おっしゃるんですか?
姉が私に嘘を付く筈がありません。
今後は何かあったら私に言って下さい。
二度と姉に近付かないで下さい!!」

成瀬は、厳しい眼差しと口調で言い切って去って行った。

一方 レストランで典良と妻・麻里(吉瀬美智子)が食事をしようとしていた所に宗田が現れて、わざとらしく麻里に挨拶をした。

「はじめまして。直人の友人の宗田です」

麻里は動揺しながらも目を合わせずに挨拶をする。

典良は宗田に帰れと告げる。

「すみません。空気読めなくて。では、また…。失礼しました」

宗田は、麻里に顔を近付けて挨拶すると席を外した。

その後、急用の出来た典良は葛西を呼び出して、麻里を自宅まで送らせた。

見送る典良の他に宗田の姿があった。

麻里は、葛西に車を止めさせた。
そして外に出ると2人の密会写真を送り付けて、わざわざ会いに来た宗田の存在を恐れていた麻里は、お互いの為に不倫関係を解消しようと迫った。

「貴方だって、全てを捨てて私と生きる程、そんな勇気ないでしょ!?」

「俺は全部、捨てたっていい」

「貴方には無理よ!」

「出来るよ!!」

「私には出来ない!そんなつもりはないから!
あの人の優しさに甘えていただけだったのかも。ごめんね…」

麻里の本心を聞かされた葛西は、呆然と立ち尽くすしかなかった。

そんな2人の別れ話の光景を山野圭太(清水優)が見届けていた。

葛西が帰宅すると宗田が不倫話を持ち掛けた。

「バレちゃっても良いのかよ?」

葛西は密会写真を送り付けて来たのは、やはり宗田の仕業だと確信して、何が望みだと問いた。

宗田は、葛西の勤めるホテルの支配人クラスの役職に就かせろと要求を出す。

葛西は感情を剥き出しにして、宗田を殴り、馬乗りになるとワインの瓶を振り上げて叩き割った。

「今度、彼女に近付いたら、ただでは済まない…」

一方 芹沢は兄・典良と飲み屋で待ち合わせて話をした。

「直人、お父さんは池畑の事件とは無関係だ。
大隈と葛西に金は持たせが池畑は現れなかった。
だから手出しはしていない。葛西に聞いてみろ。
息子に疑われるって、どういう気持ちだろうな…」

「ごめん…」

「俺じゃなくて、お父さんに言ってやれ。
お前も辛かっただろ。
身内を疑わないといけないのは」

芹沢が店を出て行くと典良は胸ポケットから、赤い封筒を取り出して中身を見た…。


中には、妻・麻里と秘書の葛西が抱き合う盗撮写真が入っていた。

公園では、成瀬と山野が会っていた。

池畑の部屋のCD-Rは、全て山野が処分していたが、既に池畑が真紀子に送っていたとは知らなかった。
そして、成瀬を庇った真紀子は人が良いと笑みを見せた。

「時々、分からなくなる。自分が誰で何故、生きているのか…大切な人を欺いてまで…」

「もしかして、迷ってるんですか?」

山野からの問いに答えられない成瀬がいた。

成瀬が事務所のドアを開けるとクラッカーのテ−プが舞い散り、社員としおりが成瀬の誕生日を祝う為に出迎えて、しおりは手作りのクッキーをプレゼントした。

パ−ティが終わった後、成瀬はしおりを自宅まで送り届ける。

「お姉さんが居るんですね。事務長さんが凄く仲が良いって。
きっと自慢の弟なんだろうな…天使の弁護士ですもんね」

成瀬は立ち尽くして呟いた。

「僕は…、天使なんかじゃありませんよ…
じゃあ…」

しおりは、立ち去ろうとする成瀬の腕を掴んで引き止めた。

「何を悩んでるか分からないですが、力になれる事が有ったら言って下さい。
神父様から聞いた事が有るんです。
天使とは美しい花を与える者ではなく、悩んでいる人の為に努める者の事だって。
私じゃ…、成瀬さんの天使にはなれませんか?」

しおりは、成瀬の腕を放すと謝った。

「すみません。なんか私…」

その瞬間、成瀬はしおりを抱き寄せて涙を流していた。



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