第8話「許されぬ愛の終わり…復讐…再び」

成瀬(大野智)は、しおり(小林涼子)の一言に胸を締め付けられて思わず抱き寄せてしまう。

その成瀬の目には、涙が浮かんでいた。
しかし、ふと冷静になった成瀬はしおりから離れると謝った。

「すみません…」

「いぇ…」

「…送ります…」

お互いに何も言う事が出来ないまま、成瀬は、しおりを家まで送り届ける。

一方、芹沢直人(生田斗真)は死んだ池畑の言葉から『真中友雄』が生きていると確信する。

成瀬がしおりの家の前まで来ると雨が降って来た。
しおりは、成瀬に傘を貸して貰っった時に懐かしい思いに浸る。

11年前、英雄が刺された事を証言した少女・しおりが雨宿りをしている時に傘をあげた記憶を思い出していた。

「これ、あげる」

友雄は、しおりの手を持つと傘を握らせた。

去り行く友雄にしおりが御礼を言う。

「ありがとう」

「僕の方こそ有難う。弟の為に証言してくれて」

友雄は、御礼を言うと降りしきる雨の中を走って去っていった。

遠くを見つめる成瀬を見て、しおりが尋ねる。

「どうかしましたか?」

「いや、別に…それでは、おやすみなさい」

入れ違いに芹沢が、しおりを訪ねて来て池畑の死と彼が持っていたタロットカードの透視を依頼する。

すると、芹沢の父・栄作(石坂浩二)が熊田弁護士と握手をして隣で制服姿の少年の姿の残像と11年前の雨の日に直人に無罪判決が出た日の残像であった。

芹沢は、「雨」というキーワードから『雨野真実』の意味について気づく。

「アメノシンジツ」=「雨の日に無罪として葬られた真実」という事だったのだ…。

これは、犯人から「自分は真中友雄」だというメッセージに違いないと受け止める。

「刑事さんは、その方に会った事は?」

「昔、会いには行ったんですが結局、会えなくて…」

「私…、その人に会ったかもしれない」

しおりも又、遠い日に傘を貸してくれた青年が『証言してくれて有難う』と言った記憶を思い出していた。

「その人が真犯人です」

「あの人が雨野真実…」

成瀬は、次なるタ−ゲットへ送るべきタロットカ−ドを赤い封筒に入れ様としたが、しおりの事を思い出して、心に迷いが生じて封筒を握り潰してしまう。

翌日、成瀬はしおりの勤める図書館に行き、入口の前で引き返そうとすると、しおりが立っていた。

「先日は…、驚かせてすいません。クッキー美味しかったです」

「そうですか!?良かった」

ぎこちない2人だったが、しおりは思い切って、成瀬を花火大会に誘ってみた。

「やっぱり、お忙しいですよね…」

成瀬は少し考えた後で微笑んで返事をした。

「いぇ…、その日は空いてます」

「本当ですか!?」

しおりは、素直に喜んで待ち合わせ時間と花火大会のチラシを成瀬に手渡した。

その時、2人の前に芹沢が現れて自分に届いた赤い封筒を差し出して見せた。

成瀬は赤い封筒を見て呆然とする。

その後、山野圭太(清水優)から成瀬に電話が入った。

「やっと捕まりましたね…」

「何故、勝手に封筒を送った!?」

「ここ数日、計画通りに進まないんで気を遣って。
次のタ−ゲットは誰です?復讐を止めるつもりですか?」

「そうじゃない!」

「英雄の未来を奪った奴らなんですよ?」

「そんな事は分かっています!」

「芹沢直人を許すんですか?」

「違う!!」

「あいつに踏みにじられた英雄を貴方まで見捨てるんですか!?」

芹沢に届いたカ−ドは、「バンドのファイブ」=ジレンマや仲間同士の争いを意味していた。

一方、宗田充(忍成修吾)は、先に芹沢麻里(吉瀬美智子)を呼び出して喫茶店で葛西均(田中圭)を待っていた。

葛西が駆け付けると宗田は麻里に支配人にするべき約束を守らないから呼び出したと説明した。

しかし葛西は、既に別れたと告げる。

納得いかない宗田は、血相を変えて『決めて来い!』と強要した。

「芹沢グループの社長夫人と秘書が不倫なんて、マスコミにバレたら格好のネタでしょうね…良く考えるんだな」

宗田は捨て台詞を吐いて店を出て行った。

不安がる麻里に葛西は自分が何とかすると言って宥めた。

同時に典良(劇団ひとり)は、ヤクザを使い妻・麻里と葛西の不倫が事実である事と2人の関係をマスコミにばらそう脅している宗田の存在を知った。

葛西は典良に宗田に頼み込まれた件を申し出た。

「こんな馬鹿な事を言うなんて何か理由が有るんだろう?」

「実は…、脅されているんです。
宗田が…、11年前の事件を公にすると俺に言って来たんです。ですから、ここは要求通りに」

葛西は、典良に自分と麻里との関係がバレいるとも知らずに嘘を付いた。

「それは出来ない。だか宗田の対処は俺が考えておく」

典良は険しい表情でオフィスを出て行った。

落胆した葛西が帰宅すると、宗田が返事を聞いて怒り出し、葛西の上に馬乗りになって叫んだ。

「てめぇばっか、良い思いしやがってよ!
俺がどんな思いで生きて来たか分かってんのか!?
あの時、直人の親父に正当防衛って嘘を付かされて。
あれから、ずうっと俺まで人殺しになった気分だったよ!
もう、たくさんなんだよ!!過去を引きずって生きて行くのは!!
これが最後のチャンスなんだよ!これが駄目なら全部ぶちまけて、お前と心中だ!」

その時、一瞬、玄関のドアが開き赤い封筒が投げ込まれて床に落ちた。

葛西が拾うと差し出し人は『雨野真実』からで、宛名は書かれておらず、互いに不安がる。
葛西が芹沢に連絡をしようとすると、宗田が2人の事が調べられて芹沢に全てバレると警告する。

その時、玄関を激しく叩く人物がいた。葛西が問うと芹沢であった。

芹沢は自分の所にタロットカ−ドが届いて、2人の元にも届いていないかと心配になってやって来た。

宗田と葛西は、「届いてない」と答えた。
芹沢は、「もし届いたら直ぐに連絡する様に」と、伝えると帰って行った。

「恨みを持つ人間か…」

宗田は芹沢の言った言葉を葛西の前で呟くと部屋に入って行った。

葛西の頭の中では、宗田の言った『お前と心中だ』の言葉が巡っていた。

翌日、宗田が街中を歩いていると山野と出会う。
山野は自分達を盗撮する人物に気付くと宗田に聞いた。

「誰かに狙われているのか?」

宗田の頭の中に葛西への疑念が生まれた。

そして、宗田の表情を見ていた山野のは不適な笑みを浮かべていた。

一方、芹沢栄作(石坂浩二)は、成瀬の提案で典良にプロジェクト開発の責任を任せる事にした。

「経営者は、クリ−ンなイメージを求められる時代です。
表沙汰になって困る様な事はありませんね?」

「えぇ…」

その時、典良にヤクザから連絡が入り、宗田が妻・麻里と葛西の不倫事実をマスコミにばらす件の報告を受けて、対応を考え始めた。

傍らで聞いていた成瀬は、気をきかせてオフィスを退室すると廊下で暗い表情の葛西と遭遇する。

「どうかしましたか?悩み事があるなら、いつでも相談にのりますよ」

葛西は礼を述べると典良のオフィスに入って行った。

「明日から九州に出張になった。
それから、宗田の件だか大隈に処理させる事にした。
あいつは、今までも直人の事件をたてにやりたい放題だったな。今こそ決断の時だ」

「あの…、処理というのは…その…」

「消すって事だ。今日中に大隈に連絡を取って明日、実行だ」

「何もそこまで!?」

「俺が決めた事だ。逆らう気じゃないだろな?」

葛西が成瀬の事務所を訪ねて相談にやって来た。

「やはり、何か悩んでいらっしゃたんですね」

「いや、知り合いの事なんですが…
ある事で脅迫されているんです。そいつが不倫をしていて…」

「そういう事でしたら、法律的に対処する事は可能です。
しかし法律で全ては解決しません。
訴訟により、公にしてしまっては、その方が守りたい秘密も大切な人も守れなくなってしまうのでは?」

葛西は悩んだ末に大隈に連絡を入れた。

帰宅した葛西は、宗田に支配人の件が上手く行くかも知れないと告げた。

その時、芹沢がタロットカ−ドが届いたと聞いてやって来た。
宗田は隠しておいたタロットカ−ドを芹沢に手渡す。

呆然とする葛西に宗田は、「自分が呼んだ」と説明する。

宛名が書いてない事から、芹沢が尋ねたが、2人共「心当たりはない」と答えた。
芹沢は、2人に詫びて警備を付けると約束して帰って行った。

芹沢が刑事課に戻ると係長・中西(三宅裕司)や同僚の高塚と倉田刑事らが、真中友雄が生存している証拠を掴めずに残業していた。

資料を見ていた芹沢は、顔で判別出来ずに持っていた学生証だけ真中友雄だと確認された事に疑念を抱き、一緒に居た仲間と入れ代わったのではないか?と推測した。

翌日、典良は葛西に宗田の件について念を押して出張に出掛けた。

一方、芹沢は10年前から事故が起きた資材置場で働き、池畑の取材で証言した藤野の元を訪れるが全く相手にされずに追い返されてしまう。

何故なら、藤野の元にも雨野真実から赤い封筒で10年前の資材置場の事故記事と『口は善悪の門、舌は福の根』と書かれた手紙、愛人の女と連れ歩く盗撮写真が届いて脅されていたからであった。

一方、花火大会の当日の夕方、用事のなかった成瀬は急遽、相談に来た依頼を取り次いだ。

藤野に追い返された芹沢と高塚刑事は、家がなく資材置場で寝泊まりをしていた2人が未成年ならば、補導歴があり、真中友雄の仲間だったら、入れ代わる事が出来ると推測して捜査を始める。

待ち合わせの19時になり、花火大会が始まっても、浴衣姿のしおりは成瀬が来る事を待っていた。

芹沢たちは、過去10年分の補導歴のある資料に目を通す。

花火大会も終わってしまい、しおりが携帯の時計を見ると21時半を回っていた。
淋しい気持ちでいた、しおりの元に成瀬が駆け付けて来た。

「しおりさん!」

「成瀬さん」

「本当にすいません。急なセッティングが入って連絡も出来ませんでした…」

「そうだったんですか。良かった。来てくれて…花火終わっちゃいましたね」

「まだ、お時間、大丈夫ですか?」

その後、2人は花火を購入して、2人だけの花火大会をして、つかの間の時間を楽しんだ。

そして成瀬は、しおりを家まで送り届ける。

「今日は凄く楽しかったです」

「僕もです。こんなに楽しかったのは…
最後に良い思い出が出来ました」

「えっ…!?」

「会うのは、これが最後です」

「…どうして、ですか?」

「そう決めて来たんです。傘、有難うございました」

成瀬は、傘を置くと帰って行った。

芹沢たちは、膨大な資料の中から、真中友雄が鉄骨事故で亡くなる前日に補導されていた記述を見つける。

そして一緒に補導されていた少年の名前を見て驚愕する。
そこには『成瀬領』と書かれていた。

しおりは、成瀬の帰った後、置いて行った傘に触れてみた。
すると、11年前の雨の日に自分の手を取って傘をくれた青年の残像が映し出された。

「成瀬さんが…、真中友雄…」

夜の闇を走り抜ける芹沢の頭の中を、成瀬が言い掛けて来た一つ一つの言葉が駆け巡っていた。


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